2011年08月25日
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三百字小説『ダイマナイト』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 オレはナイトだった。でも失業した。誇り高いオレは、せめて、高貴な女性を守って戦いたかった。だが、世の中は冷酷だった。結局、オレは居酒屋の皿洗いしかできなかった。

 しかし、ある日チャンスが訪れた。うっかり、他のスタッフが話ているのを聞いたのだ。「いい仕事あるぜ。淑女を守るナイトの仕事。『ダイマ』ナイトだ」

 オレはその仕事に飛びついた。オレはナイトの経歴を買われ採用された。しかし、採用されてから仕事の内容を聞いて仰天した。それは女性の留守宅を守って帰宅する女性を迎える『タダイマ』ナイトでしかなかった。オレが高貴な女性のために戦うことはなかった。

(遠野秋彦・作 ©2011 TOHNO, Akihiko)

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